「トータル・リコール」を4Kで観た
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最終更新日:2023/09/14
トータル・リコール アーノルド・シュワルツネッガー, コブラ, ディストピア, フィリップ・K・ディック
美人妻ローリーと暮らすクエイドは、行ったことがないはずの火星の夢をたびたび見る。火星に実際に行く代わりに、自分の好きな設定で夢を見ることのできるサービスを売るリコール社に行くが、拒否反応を起こしてしまう。リコール社からは、サービスを利用したこと自体の記憶を消されてしまう。
その後、クエイドは命を狙われるようになり、妻ローリーにも殺されそうになる。ローリーとの結婚も実は植え付けられた記憶で、彼女はクエイドの監視役だった。追っ手を逃れたクエイドは火星に行き、強権を行使する採掘会社と、その反乱分子の存在を知る。
オリジナルは1990年公開だが、今回デジタル4Kリマスター版が公開された。パンフレットも、当時の復刻ではなく加筆がされていた。映像の冒頭、監督のポール・バーホーベンが4K化に際してコメントする映像が流れ、その後本編が始まった。ただ、ぶっちゃけ、4Kの効果を感じる箇所は少なかった。火星の地表の赤みや、空気を製造する氷河に覆われた地下施設の青さが映えていると感じたくらいだ。
何度か観ている作品だが、ストーリーは前半しか覚えていなかった(汗)。なので、後半のクエイドとメリーナが採掘会社のコーヘイゲンに捕まってからは、どうやって形勢を逆転するのかと、新鮮な気持ちで観ることができた(笑)。
キャストは、クエイドにアーノルド・シュワルツネッガー、メリーナはレイチェル・ティコティンという人、ローリーにシャロン・ストーン、コーヘイゲンにロニー・コックス(「ビバリーヒルズ・コップ」での警察部長役や、「ロボコップ」での敵対企業のトップ役など)。ポール・バーホーベンは、この3年前に「ロボコップ」を手掛け、ハリウッドに進出し勢いづいていた頃だ。シュワルツネッガーは話題作に出まくっていた頃で、この作品もストーリー以上にこの人の個性を前面に出そうとしたきらいがある。シャロン・ストーンは、それまで端役ばかりだったのがこの作品で注目を浴びる。そしてこの2年後、同じくバーホーベン監督の「氷の微笑」で大ブレイクを果たす。
寺沢武一の「コブラ」第1話にて、顔を変え宇宙海賊だった記憶を消し、しがないサラリーマンとして働くコブラ(このときは別の名前)が、なけなしの給料を払って自分の好きな夢を見ることのできる会社に行きサービスを受ける。しかし、見たのは設定された夢ではなく、消したはずの過去の記憶だった。「トータル・リコール」を最初に観たとき、まずワタシはコレを思い出した。「コブラ」の方が「トータル・リコール」より10年以上早いが、この映画は『追憶売ります』という小説に原案を求めていて、この小説は1966年に刊行されている。
公開当時は、CGが映像技術に導入されるかされないかという時期で、恐らく本作では使われていない(CG導入に積極的だったのはジェームズ・キャメロンで、1989年に「アビス」、1991年に「ターミネーター2」を公開している)。舞台は火星に移民している未来社会だが、タクシーをはじめとするクルマ類、電車、駅、火星の繁華街など、人力で作った感がにじみ出ていて、B級感ありありだ。「ブレードランナー」のロサンゼルスの描写、タイレル社のピラミッドのようなビル、デッカードが乗るスピナーなどのデザイン性が如何に優れているかを、改めて痛感させられる。シド・ミードすごい。
ただ、フィリップ・k・ディックが描いた世界観は、本作のような感じだったのではないかと思っている。
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