007 ワールド・イズ・ノット・イナフ(1999年)
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最終更新日:2023/04/22
ピアース・ブロスナン 007シリーズ
ジェームズ・ボンドは、石油王ロバート・キングの大金回収に成功。しかし大金には爆弾が仕掛けられていて、確認しようとしたキングは爆死してしまう。MI6は、かつて009に頭を撃ち抜かれるも死なず、感覚を失ったテロリストのレナードが黒幕と睨む。
Mはボンドに、キングの娘で石油会社を継いでいるエレクトラの護衛を命じる。彼女はかつてレナードに誘拐され、自力で脱出したことがあった。しかし核爆弾がレナードに強奪され、石油パイプラインに仕掛けられてしまう。ボンドは、エレクトラがストックホルム症候群にかかり、レナードと通じているのではという疑念を抱く。
ピアース・ブロスナンがボンド役になってからの3作目になる。この作品は、なんと言ってもボンドガールのエレクトラに尽きる。ソフィー・マルソーが演じているのだが、かつての『ラ・ブーム』の純粋で可憐な少女のイメージを抱いて観ると、成長し大人になっているとはいえ、不適な役柄を堂々とこなすさまはインパクトがある。
宣材写真に使われることの多い、ボンドに彼女がまたがっているショットは、一見エロティックなようでいて、実はボンドを拷問椅子に後ろ手に縛り付け、殺害する間際のシーンなのだ。結局ボンドはこの危機を脱し、実は黒幕だった彼女を射殺する。メインのボンドガールをボンド自らが殺すのは、シリーズを通じても異色だ。
核兵器処理施設で女性科学者のクリスマス・ジョーンズと知り合い、以降は2人で協力してレナードとエレクトラのテロを食い止めようとする。クリスマスはデニス・ジョーンズという人が演じていて、プライベートではチャーリー・シーンと結婚していたこともあるそうだ。
レナードは、ロバート・カーライル。時系列でいくと、『トレインスポッティング』『フル・モンティ』『フェイス』などを経ての出演となるが、不死身のサイコパス役はそれらの作品の役柄とはまるでかけ離れている。
Mがエレクトラに拘束される、Qが引退し後任のRをボンドに紹介するなど、MI6内部にまで切り込んでいるのも興味深い。キングが爆死したのは、MI6本部地下だったし。長きに渡りQを演じてきたデスモンド・リュウェリンは、実際に俳優業を引退。しかし、撮影完了後に事故死してしまい、本作がほんとうに遺作になってしまった。
主題歌はガービッジ。米英混合のロックバンドだが、シャーリー・マンソンのヴォーカルはシリーズのイメージを損なっていない。
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