地球へ・・・(マンガ版)
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最終更新日:2020/07/24
地球へ・・・
竹宮恵子作の漫画「地球へ・・・」を読んだ。アニメ映画、テレビアニメは観て、最後に原作を読むこととなった。原作が連載されていたのが、1977年から1980年まで。アニメ映画の公開は1980年で、原作終了直後。テレビアニメは、それからかなり後の2007年に放送された。
テレビアニメを観ていた時点で、映画版との違い(映画ではトォニィはジョミーとカリナとの子になっている。また、クライマックスからラストへかけてのくだりも大きく異なる)はわかったが、そのときはてっきり映画版の方が原作に即していて、テレビアニメが独自色を出しているものとばかり思っていた。がしかし、原作に比較的忠実だったのは、むしろテレビアニメ版の方だった。映画が時間の制約があるためかかなり凝縮されているのに対し、2クール半年をかけて人物を可能な限り細かく描き、補完もしている。
原作はテンポよく進むが、アニメほどの重厚感はなく、あっさりとした印象を受ける。とはいえ、未来の地球が環境破壊にさらされ、外部の惑星に移住しコンピュータによって生命までもがコントロールされるという舞台設定は素晴らしい。また、ジョミーとキースという2人の主人公を擁し、ミュウと人類それぞれの視点から話を進めるという持って行き方は、当時としては斬新だったはずだし、その後の他のマンガやアニメに継承されているかといえば、あまりされていない気がする。継承するのが困難な手法だったのではないだろうか。
3種類のラストが存在することになるが、個人的にしっくりくるのは映画版だ。ジョミーとキースが共に命を賭け、人類とミュウは和解。そして、ミュウ同士の中で生まれたトォニィたちが、ジョミーたちともまた異なる感性を持っていて、人類とミュウとの行く末を見守るスタンスを取る、という形で幕を引いている。
竹宮恵子は、アニメ版は自分の手を離れた別の作品という認識でいるらしく(そりゃそうだが)、と同時に、他者によってストーリーが書き換えられることを特に厭わない様子だ。今回読んだ原作は愛蔵版で全3巻だったが、これは2007年のテレビアニメにリンクするかのように刊行された様子。1巻の巻末に作者あとがきがあって、大学で講師を勤める竹宮は、原作と映画版との演出の違いについて学生にレポートを出させているそうだ。
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