12モンキーズ(1995年)
2035年。ウィルス散布によって人類のほとんどが死滅し、生き残った人々は地下に住むことを余儀なくされていた。犯罪者として投獄されていたジェームズ・コールは、特赦を受ける条件としてタイムマシンで1996年に行き、ウィルスを撒き散らした集団「12モンキーズ」に接触し、ワクチン作成のためのウィルスを入手する任務を課せられていた。
しかし、タイムマシンの故障で1990年に着いてしまい、逮捕され精神病院に送られてしまう。未来に起こっていることを話すコールを、医師のキャサリンは妄想癖と診断。その後、1996年に来たコールはキャサリンに会い、協力を得ながら12モンキーズを調査する。6年前に精神病院で知り合った患者ゴインズが、そのリーダーになっていることを知る。
タイムマシンで未来から過去の世界へ、となると、起こるのはタイムパラドックスだ。冒頭のシーンが実はラス前クライマックスの直前になっていて、未来から来たコールが1996年時点の自分とニアミスしていることがわかる。そして、作品タイトルにもなっている「12モンキーズ」が、記号・象徴的な意味合いでしかなかったことも判明してしまう。
キャストは、コールにブルース・ウィリス。時期的には、「ダイ・ハード」シリーズでついた肉体派のイメージから脱却し始めていた頃ではなかっただろうか。キャサリンはマデリーン・ストウという人で、個人的には「クローン」で観たことがある。ゴインズはブラット・ピットで、ここではジャンキーを経て極端な思想に取り憑かれたイカれっぷりを見せる。時期的には、「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」「セブン」などに出ていた頃で、ハリウッドを代表する俳優のひとりにのし上がっていく過程を見ている気がする。ゴインズの父は、クリストファー・プラマーだった。
監督は、テリー・ギリアム。一筋縄ではいかないひねりの効いたSFは、観る人を選ぶかもしれないし評価も分かれるだろう。しかし「未来世紀ブラジル」を観て以来、個人的には好きな映画監督のひとりだ。ブルース・ウィリスの起用は以前から熱望していたがタイミングが合わず、この作品でやっと実現したのだとか。また、脚本家のひとりが「ブレードランナー」のデヴィッド・ピープルズだった。
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