井上真樹夫さん死去
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最終更新日:2022/09/27
キャプテン・ハーロック ガンダム, マーベル
声優・俳優の井上真樹夫さんが、11月29日に亡くなられた。死因は持病の狭心症悪化とのこと。80歳だった。
世の中的には、「ルパン三世」の石川五ェ門役のイメージが強いだろう。ルパンや次元とは少し距離を置きつつ、結局は一緒につるんでいる。無口で古風なキャラクターは、なぜか時代遅れにはならず、作品にフィットしていた。何でも切れるはずの斬鉄剣がコンニャクを切れずに狼狽する、コミカルな一面も覗かせていた。「カリオストロの城」での、クラリスやジョドーと交わした短い会話は、結構好きだった。
「巨人の星」の花形満は、金持ちでキザで、しかし文武両道で野球の資質は天才と称されていた。星飛雄馬の大リーグボール1号を打ち込むため、鉄球を鉄バットで打ち返す特訓を重ねた。結果、打つことは打ったが、両腕と両肩を複雑骨折し入院。プライドを捨てた、なりふり構わない姿勢を見せたとき、名作には主人公に匹敵する好敵手が必要なのだと思った。その後も飛雄馬のライバルとして戦い続け、実はガンダムのシャアのような敵キャラのルーツではないだろうか。
個人的には、松本零士原作のキャプテン・ハーロックのイメージが強い。冷静沈着、判断力とリーダーシップに優れ、絶対に譲れないものを自分の中に持っていた。劇場版「銀河鉄道999」に出演し、星野鉄郎をバックアップしたのは嬉しかった。昨今のマーベル・シネマティック・ユニバースなどにあるようなスターシステムを、最初に実感した作品だった。続編の「さよなら銀河鉄道999」では、鉄郎の父黒騎士ファウストとかつて戦友だったという設定も気に入っていた。
テレビシリーズも観たが、劇場版「わが青春のアルカディア」では、完成していない若きハーロックのほか、先祖にあたる第二次大戦中のドイツ軍飛行士ファントム・F・ハーロック二世も登場。つまり二役をこなしていた。
ファーストガンダムでは、劇場版「2」「3」でスレッガー・ロウ中尉を演じていた。上記のクールなキャラとは異なり、一見チャラい兄貴肌ながら、やるときはやる、決めるときは決めるというキャラは新鮮だった。ミライとのつかの間のロマンスを経ての、アムロのガンダムと組んでのドズル・ザビのビグ・ザムとの攻防は、名勝負名場面のひとつだ。
演者としては、そのキャリアにおいて代表作と言えるキャラクターにひとり巡り会えれば御の字だろうと思う。しかし井上さんは、上記のように4人の突出したキャラクターを演じてきた。亡くなられたのは残念だが、残された功績はとてつもなく大きい。慎んで、ご冥福をお祈りいたします。
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