四人囃子『From The Vaults2』
四人囃子は、2001年に5枚組ボックスセット『From The Vaults』をリリースしたのに続き、2007年に『From The Vaults2』をリリースしている。前作は四人囃子の活動をトータル的にフォローした未発表音源集だったが、今回はバンドの評価が最も高い初期に絞った未発表音源集になっている。
ディスク1と2は、シングル『空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ』、映画サントラ『二十歳の原点』、そしてファーストアルバム『一触即発』が如何にして作られたかという、その裏側を解き明かす内容になっている。バージョン違いやSE等の素材などが収録されていて、曲が出来上がっていく過程を垣間見ることができる(ビーチ・ボーイズのボックス『Pet Sounds Sessions』を彷彿とさせる)。
ディスク3は、1978年にリリースされたライヴアルバム『'73四人囃子』のMCをも含んだ完全版。『泳ぐなネッシー』が追加されたほか、曲順も実際に演奏された順番になっている。オリジナルは、アナログA面B面に収めるためにとった処置と思われるが、リリース時は四人囃子はレコード会社を移籍していて、メンバーは制作に関わっていなかったそうだ。デジタル時代になったこともあるが、今回晴れてバンドが望む形でのライブ盤になったのではないだろうか。
ディスク4は1972~1973年の、ディスク5は1974~1975年の、未発表ライヴ音源だ。音質に難はあるものの、曲により歌詞が変わっていたり、歌っていなかったり(笑)、ギターソロだけでなくドラムのソロもあったりして、原曲との違いを楽しめる。
前作に劣らず、本作もブックレットの内容は充実している。リアルタイムでバンドを目撃した音楽評論家たちによる解説もあるが、目玉はこの時期のメンバー5人が当時のことを思い出しつつ、レコーディングやライブなどの当時のエピソード(茂木由多加の加入/脱退のいきさつも)を語っていることだ。レコーディングや音へのこだわりが凄まじく、これバンドやってる人が読んだらもっと面白く感じるんだろうなという濃い内容だ。更には、音響や楽器運搬スタッフなどのコメントを取っている。マネージャーは、ドラマー岡井大二の実兄だった。ライブ&レコーディングデータは前作以上に細かくなり、かつ前作リリース後のデータも記録されているのが嬉しいところ。
ちなみに、ディスクユニオンで購入すると、先着で更に未発表のライヴ音源/MCなどが収録されたボーナスCDが付与される。ワタシもディスクユニオンで買い、発売日に宅配されたのだが、なんとボーナスCDが入っておらず、通販センターにTELして別途送ってもらった(現在はボーナスCD付与は終了している)。ボーナスCDは全7曲になっているが、うち後半はディスク4、5のライブのMCの断片だ。
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