*

アイズ・ワイド・シャット(1999年)

アイズ・ワイド・シャット(1999年)

ニュー・ヨークの開業医ビルと夫人のアリスは、倦怠期を迎えていた。知人のクリスマスパーティーに招待された2人は途中から別行動をとり、それぞれ異性に言い寄られる。後日、それがきっかけで2人はケンカになってしまう。

旧友のニックと前夜のパーティーで再会したビルは、彼がピアノを弾いている店に行き、会員制の仮装パーティーが開催されることを知る。ニックに頼み込んでそのパーティーに参加できるよう取り計らってもらい、レンタルショップで仮装の衣装一式を借り、(もちろんアリスには内緒で)パーティーに参加する。

当時は実生活でも夫婦だったが、ビルとアリスを演じている。トム・クルーズは今とあまり変わってはいないが、若い分だけ顔つきが精悍で、開業医役としてはカッコよすぎる(笑)。ニコール・キッドマンは妖艶で、そして話し方がやたらとゆっくり。役作りでそのようにしたのかな。

ふたりの夫婦共演も話題性があるが、仮装パーティーでの過激な性描写も凄まじい。そして、招かれざる客だったビルは徐々に精神的に追い詰められるという、心理サスペンスの様相も呈している。パーティーのことを口外しないよう脅され、尾行される。パーティー前にビルが出会った女性たちが、みなあの場にいたのではと、ビルも、そして観る側も思わされてしまう。

監督は、。この人にとっての遺作になり、試写会の5日後に原因不明の心臓発作で亡くなっている。映像の美しさは相変わらず冴え渡っていて、プラス人の心の奥底に潜む狂気と欲望が見え隠れするさまは、それまで手がけてきた作品のキャラクターたちにも少し通じている。

ただ他の作品と少し違うなと思うのは、本作では、既にメジャーな存在になっていたふたりを主演に据えたことだ。それまで起用してきた俳優たちは、キューブリックの作品に出ることでより世に知られていった人たちが大半だと思う(例外は、くらいかな)。

関連記事

博士の異常な愛情(1964年)

米ソ冷戦時代。アメリカ軍のリッパー将軍が突如ソ連への核攻撃を指示し、基地にたてこもる。巻き込

記事を読む

シャイニング(1980年)

山奥にあるホテルの管理人の職に就いた、小説家志望のジャック。妻ウェンディと息子ダニーの3人で

記事を読む

キューブリックに魅せられた男

「キューブリックに魅せられた男」を観た

スタンリー・キューブリックに関わるドキュメンタリー映画だが、映画制作においてキューブリックに

記事を読む

キューブリックに愛された男

「キューブリックに愛された男」を観た

スタンリー・キューブリックに関わるドキュメンタリー映画だが、映画制作とはまた別のところでキュ

記事を読む

突撃(1957年)

第一次大戦中の、とあるフランス軍の戦線。ダックス大佐の隊はドイツ軍への無謀な突撃を命じられる

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑