ふたりの女王 メアリーとエリザベス(ネタバレあり)
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最終更新日:2024/04/13
イギリス王室 シアーシャ・ローナン, ジョジョ, マーゴット・ロビー
最初に書いてしまうと、邦題には違和感がある。2人を対等に描いてはおらず、ほぼメアリーの物語だからだ。そもそも、原題が『Mary Queen of Scots』だし。
16世紀後半(日本だと戦国時代の頃)。夫であるフランス王の死に伴い、メアリー・スチュアートは祖国スコットランドに戻ってきた。当時のスコットランドはイングランドの支配下にあったが、メアリーは血統的に自分にもイングランド王の継承権があると主張。現女王エリザベス1世にプレッシャーをかける。エリザベス側もメアリーの再婚に口出しし、両者は互いに牽制する。
エリザベスはスコットランドに内戦が起こるよう仕向けるが、メアリー率いる軍は勝利する。メアリーは親戚であり血筋も持ち合わせるヘンリーと再婚し、息子を設ける。依然としてメアリーが権力を保持していることをよしとしないメアリーの異母兄とヘンリーの父は、セクシャルな特質があるヘンリーを扇動しメアリーを追い込もうとする。
馬に乗って隊を先導しつつ、兵に自らねぎらいの声をかけるメアリーの姿は勇ましく、そして凛々しい。4人の侍女に身支度をしてもらう描写には女性だけが持ちうる空気感が漂い、観ていてまぶしかった。侍女の助けを得て出産するシーンは、結構生々しかった。
そして、これはエリザベスも同様だが、女王を支える臣下の男性たちを束ね従えるさまは一見気丈だが、ほんとうに心を許せる人がいない。エリザベスは生涯独身を通し、メアリーは夫ヘンリーがアル中でもあったため、子を授かった時点で相手にしなくなる。やがてヘンリーは暗殺されてしまう。メアリーもエリザベスも、自分の苦しみを知りうるのは同じく女王の立場にいる彼女だけと互いに思うようになる。
メアリーはシアーシャ・ローナンで、ワタシが観るのは今回がはじめて。エリザベスはマーゴット・ロビーで、以前は『スーサイド・スクワッド』のハーレイ・クインで観たことがある。メアリーは女性としての美を体現し、エリザベスは天然痘を患い顔が醜くなってしまうなど、共に女王でありながらふたりの描写ははあまりにも真逆だ。ガイ・ピアースがエリザベスの家臣のひとりとして出演していたが、観ていて気づかなかった(汗)。
『ジョジョの奇妙な冒険 第1部』で、ディオがジョジョとツェペリを倒すために、メアリーに仕えていた騎士タルカスとブラフォードをゾンビとして復活させる。ふたりの騎士は架空の人物だが、メアリーとエリザベスの物語は史実をもとにしていたとのことで、ワタシにとってはジョジョが今作を劇場で観るきっかけだった。ジョジョにおいてはメアリーはエリザベスに捕らえられ即処刑されたことになっているが、今作が史実に基づいた描写だとすれば、少し異なるようだ。
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