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ハンター(2012年)

ハンター(2012年)

絶滅したと思われていたタスマニアタイガーの生体サンプル採取を引き受けた、フリーランスの傭兵マーティン。大学に籍を置く研究者を装ってオーストラリアのタスマニア島に赴き、民家に宿をとって山に入り、幻の野生動物タスマニアタイガーを探す。

町民には環境保護主義者と勝手に決め付けられ、民家は電気が通らず発電機が壊れている状態で、合理主義者のマーティンはうんざり。しかし寝たきりだった民家の母親が回復し、幼い娘や全くことばを発しない男の子との交流、行方不明になっている子供の父親がタスマニアタイガーを追っていたことを知るなどを経て、徐々に心境に変化が出てくる。

ワタシが知っている役者は、主人公マーティンの、マーティンの山への案内と民家の世話をする少し怪しい男ジャックのサム・ニールの2人くらい。ウィレム・デフォーは悪役が板についた感があったが、久々のクリーンな役どころだ。ヒゲをたくわえあまり表情も豊かではなく無骨なキャラクターだが、それでいて妙に人間臭い。サム・ニールは「ジュラシック・パーク」のクリーンなイメージが強いが、ここではクセ者を演じている。

非常に地味で静かな作品なのだが、吸い込まれるような不思議な魅力があって、個人的にはとても見応えがあった。島内の自然は広大で美しく、マーティンと民家の3人との交流にも心が温まる。ことばを発しない(発せられない?)男の子とは彼が描く絵を通じて心を通わせ、発電機が直った直後、カラフルな電球がともると同時に父親が好きだったというの『I'm On Fire』のレコードがかかるシーンなど、幻想的で見入ってしまう。

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