ジョジョの奇妙な冒険 第7部:スティール・ボール・ラン
19世紀後半、アメリカ大陸を横断するレース「スティール・ボール・ラン」が開催され、それぞれ腕に覚えがあり、さまざまな事情を抱えた者たちが、賞金や栄誉を目指して疾走する。映画『オーシャン・オブ・ファイヤー』を思い出す。
第6部まではジョースター一族の長きに渡る戦いだったが、第7部より新章に突入した。主要キャラクターは、ジャイロ・ツェペリ、ジョニィ・ジョースター、ディエゴ・ブランドー、大統領バレンタインなど。どことなく聞き覚えのある名前ばかりだが、実は第6部のラストで宇宙が一巡しかけた後の世界、つまりパラレルワールドに突入したとのことだ。物語はジョニィの視点で進むが、実質的な主人公はジャイロだ。
馬を駆り、9つのチェックポイントを通過するレースが本筋・・・かと思いきや、途中から裏のテーマが浮き彫りになる。アメリカ各地に散らばった「遺体」を集め完成させることにより、強大な力が得られる。レース出資者のひとりである大統領はジャイロやジョニィたちに遺体を集めさせ、ジャイロたちもレースの行く先々での妨害阻止の手段として、遺体を活用する。
時代が19世紀だが、各キャラクターはスタンドを操る。そしてジョニィの爪弾は、波紋を思い起こさせる。つまり主要キャラの名前だけでなく、第6部までの世界観が少しずつ形を変えて継承されているのだ。レースは結局ポコロコという伏兵が優勝するのだが、2着にノリスケ・ヒガシカタという日本人が入っている。
単行本で一気に読んだこともあるとはいえ、第6部までとはストーリー展開が異なっているのを感じる。それもそのはずで、当初は週刊少年ジャンプに連載していたのが、途中から月刊誌のウルトラジャンプに移行しているのだ。短い尺の中で毎回クライマックスを描かなくてはならない週刊誌と違い、月刊誌ということで長尺でスケール感のある展開を描きやすくしている。
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