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アイランド(2005年)

アイランド(2005年)

2019年。完璧に管理された都市の中で、退屈な暮らしを送る人々。彼らの唯一にして最大の関心事は、理想の楽園「アイランド」へ行くことだった。不定期に抽選が行われ、無作為に選ばれた人だけがアイランドに行くことができる。しかし住人のひとりリンカーンは、この社会そのものに疑問を抱き、やがてその秘密を知る。

アイランドという楽園は実在せず、アイランドに行くことは殺されることを意味していた。実は都市の住民は全てクローン人間であり、殺された後に依頼主に臓器を提供することになっていた。リンカーンは、気の合っていた女性デルタと共に都市を脱出し、下界へ。追手から逃れた2人は、殺されようとしている仲間のクローンたちを解放すべく奔走する。

前半は近未来SF調だが、中盤で下界に出てからは急に現実感がにじみ出し、ド派手なカーチェイスや逃走劇が繰り広げられる。カーチェイスシーンだけなら、「マトリックス」にも匹敵する出来だ。しかしあまりにも派手すぎるがゆえ、リンカーンとデルタが空飛ぶバイクでビルを突き破っても、かなりの高度のあるビルから落下しても、共に致命傷を負っていないというのは、あまりにも都合よすぎはしないかという気がする。

個人的に興味深いのは、クローンを扱っている点だ。人類が科学の力で延命するとしたときの手段のひとつがクローンで、過去にも映画版「ルパン三世」やの絶筆「ネオ・ファウスト」などで描かれている。この作品では、当初クローンにはあらかじめプログラミングされた記憶がインプットされただけだったのが、中盤からリンカーンやデルタは独自の意思を持って行動するようになり、ラストでは多くのクローンが解放されてしまう。自らの意思を持ってしまったクローンたちの、この後の生き方がどうなっていくかが気になるし、現実世界で人間たちとどう折り合って行くのかも気にかかる。

主人公リンカーンは、デルタはが演じている。監督は、「トランスフォーマー」シリーズのマイケル・ベイだ。それにしても、近未来のつもりで2019年にしたのだろうが、もう来年!現実はそこまでハイテク化されていない。。。

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