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マイティ・ソー バトルロイヤル(ネタバレ注意)

マイティ・ソー バトルロイヤル

炎の巨人スルトを倒しアスガルドに帰還したソーは、死んだと思っていたロキがオーディンになりすましていたのを暴き、ロキがオーディンを預けた地球のニューヨークへ行く。更にスウェーデンへ飛んでオーディンに会い、オーディンはソーには凶暴な女神ヘラという姉がいること、アスガルドに幽閉しているが自分の死により彼女が解放されてしまうことを告げ、光になって散ってしまった。

すぐさまヘラがソーとロキの前に現れ、2人を一蹴。ロキはビフレストを開きアスガルドへ逃れようとするが、追って来たヘラはビフレスト内で2人を吹き飛ばした。2人は、別々に惑星サカールに落とされる。ロキはサカールを統治するグランドマスターに取り入り、ソーはかつてアスガルド王に忠誠を尽くしていたはずのヴァルキリーに捉えられ、グランドマスターに引き渡される。格闘大会に勝てば解放されるという条件でソーが相対したのは、なんとハルクだった。

マイティ・ソー』としては3作目、そして時間軸的には『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』の2年後にあたる。ロキがオーディンを預けた老人ホームがとり壊されるところを、オーディンを救い出しスウェーデンに退避させていたのは、ドクター・ストレンジだった。地球が舞台となったのは序盤わずかだけで、今回はほとんどがサカールとアスガルドを舞台としている。ジェーンをはじめとする地球でのソーの仲間たちは、全く登場しない。

キャストは、ソーに、ロキにトム・ヒドルストン、オーディンにはもちろん変わらず。どうしようもなく強く、ソーのシンボルとも言えるハンマーを砕き、どうやってこの人倒すんだと思わされるヘラは、。これまでの役のイメージと同様で、強い女のイメージにぴったりだ。

アベンジャーズ組でいくと、ドクター・ストレンジ、そしてハルク/ブルース・バナーのマーク・ラファロが今回客演。ドクター・ストレンジは顔見せ的な登場に留まっているが、ハルクは久々に大暴れし、バナーも、どこか抜けているようでやるときはやるというキャラクターは、今回も健在だ。なぜか、『Rio』のTシャツを着ていた。

ソーの忠実な部下のひとりを、浅野忠信が前作前々作に続いて演じている。他の部下があっさり倒されているのに対し、浅野演じるホーガンはソーへの忠誠心を表現して死んでいく。ある意味儲け役だ。もうひとりの忠臣ヘイムダルは、イドリス・エルバ。今回はビブレストを追われるも、アスガルドの民をかくまい導く重要な役回りを担っている。

代わってビブレストの番人になった男スカージは、なんとだった。『スター・トレック』でのキャプテン・カークを支える沈着冷静な医師とは似ても似つかない、スキンヘッドにタトゥーを入れた風貌に、観ているときは全く気づかなかった。スカージはヘラに寝返るも、クライマックスで自身のやるべきことに気づき、体を張る。ほかには、スタン・リーをはじめ、意外な人がカメオ出演している。

ソーはやんちゃなようでいて、正しくも険しい道を行こうとする。上腕がものすごく太くはちきれんばかりの筋肉で、ほんとにクリス・ヘムズワースかと思ったほど。一方のロキは、真っ向勝負では決して強くはないが、人の心をつかんだり動かしたりする術に長けていて、そのときそのときで敵にも味方にもなる。ヒーロー乱立のにあって、実は必要不可欠なキャラクターのような気がする。『マイティ・ソー』はもちろんソーの物語だが、ロキの物語でもあると思う。

コミカルな要素が増えすぎているという評をかなり見かけたので不安だったが、言ってみれば『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のノリに近くなったというだけで、作品全体の雰囲気を大きく歪めるものではない。ただ、「バトルロイヤル」という邦題にはやはり違和感がある。イメージが合うのは、サカールでのソーとハルクとの戦いくらいで、作品全体を象徴してはいない。原題「ラグナロク」は、北欧神話で「世界の終末」を意味するそうだ。

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