機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) (1)
宇宙世紀0096年。ビスト財団のカーディアスは、地球連邦政府の存在をおびやかすとされる「ラプラスの箱」を、ネオ・ジオン残党「袖付き」に譲渡しようとしていた。アナハイム工専に通うバナージ・リンクスは、ラプラスの箱譲渡を阻止しようと潜入していた少女オードリー・バーンと知り合い、共にビスト邸に潜入する。
しかし、状況を察知した地球連邦が襲撃をかけ、交渉は失敗。オードリーは捕獲される。バナージは、瀕死のカーディアスから自身の出生の秘密を知らされると共に、モビルスーツ「UC(ユニコーン)ガンダム」を託される。否応なく戦闘にまきこまれる中、バナージはニュータイプの資質を発揮。UCガンダムはサイコミュを搭載した高性能モビルスーツであるだけでなく、ラプラスの箱の謎を解く鍵にもなっていた。
『逆襲のシャア』から3年後が舞台で、今作こそファーストガンダムから続く宇宙世紀最初の100年を締め括る作品になる。クオリティーやストーリー展開は、幾多あるガンダム続編の中でも最高レベルにあると思う。ワタシが観た続編は、『Z』『ZZ』『逆襲のシャア』『F91』『ポケットの中の戦争』『0083スターダストメモリー』『MS IGLOO』。以下は、『ファースト』『Z』『ZZ』『逆襲のシャア』『UC』をひとくくりと捉えて書く。
今作ほど、敵味方の図式があいまいな作品はない(Zのときに連邦の一部特権化した組織がティターンズとして敵になったが)。今までは、なんだかんだ言っても地球連邦が主人公側で、ジオンは敵であり「悪」だった。『逆襲のシャア』では、シャアは敵であって悪人ではないように描きたかったと制作者は語っていたが、小惑星を地球に落とそうとする人物は「善」にはなりえない。
今回は、連邦でもジオンでもない、ニュートラルな立ち位置のビスト財団をベースにした。「ラプラスの箱」を保持するがゆえに連邦の便宜を受け続け、またモビルスーツをはじめとする軍事兵器を連邦にもジオンにも提供している、アナハイム・エレクトロニクス社を実質的に司っているという設定だ。
劇中、バナージは民間人という立ち位置を崩すことはなかった。連邦として戦うこともあるが、地球では袖付きの兵とも行動を共にする。バナージは実はカーディアスの息子で、だからこそ訓練を受けたわけでもないのにUCガンダムとシンクロし、戦闘に順応した。性格的にはカミーユ・ビダンとジュドー・アーシタをミックスさせた印象を受けるが、ガンダムパイロットの進化形と思える。
バナージに並ぶ主人公が、オードリー・バーンだ。彼女の正体は、ジオンのザビ家の血を引くミネバ・ラオ・ザビだった。
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