ベック(Beck)@フジロック’16
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最終更新日:2020/11/08
Fuji Rock Festival'16 ダイナソーJr., フジロック, ベック
フジ出演は2005年以来11年ぶりだが、そのときワタシは当時再結成したばかりのダイナソーjr.を選んでいた。今回もトータスとまるかぶりになってしまったが、迷わずベックを選択。フェスで観るのは、東京開催の98年以来、実に18年ぶりということになる。そして、この選択に間違いはなかった。
水玉のシャツにライダースジャケットをまとい、ハットをかぶったベック。出だしがいきなり『Devil's Haircut』で、更に『Black Tambourine』『Loser』『New Pollution』と続け、気合いの入りようが尋常ではないことがビシビシ伝わってくる。間奏時にはステージ上を右に左にと歩きまわり、ステップを刻んだり、と、かなりアグレッシブ。ギターはほぼ1曲毎に交換してはかき鳴らし、演奏にも妥協はない。脊髄損傷でここ数年自身の活動が満足にできなかったことを明かしているが、そのたまったストレスを爆発させているかのようなパフォーマンスだ。
MC、および歌の中に、フジロック20周年のことを何度も交えてくる。ベックは第1回97年の2日目にエントリーされていたが、台風直撃のため中止になっていた。あのスタートから、回を重ねて20回。さまざまなことを克服し歩んできたことを、ワタシたち日本人ならならともかく、ベックが何度となく触れてくれたのは、とても嬉しかった。
中盤は、アコースティックセットになる。フォーキーでトラディショナルなスタイルは、ヒップホップとロックの融合や宅録に並ぶベックの音楽性の魅力のひとつで、アコギを弾きながら情感込めて歌う姿には、ボブ・ディランが憑依したかのような錯覚を受けてしまう。ノエル・ギャラガーのアコースティックとは違う魅力がある。
終盤は再びバンドセットになり、『Girl』『Sex Laws』『E-Pro』で締めくくる。本人の「新幹線で帰りたい」という希望のために19時30分スタートになってはいるが、もちろんアンコールで、それがスーパーバラード『Debra』だ。生で聴くのは、2000年の武道館以来かな。ベックは衣装替えしていて、白いスーツ姿にピンクの水玉模様シャツになっていた。
オーラスは『Where It's At』で、しかしインタールードでバンドメンバーの紹介をはじめ、ベーシストはシックを、ギタリスト(ジェイソン・フォークナー!)はデヴィッド・ボウイ『China Girl』を、キーボードの人はクラフトワークを、それぞれちらりと演奏。
そしてドラマーの番になったとき、プリンスの『1999』に!海外でのライヴでプリンスへのトリビュートをやっていたのは知っていたので、それをフジの場でもやってくれたのが嬉しかった。ベックは、歌/演奏/ダンスという、プリンスの遺伝子を最も強く継承しているアーティストと思っていて、やたらと『Purple Rain』をカヴァーする幾多のアーティストたちとは一線を画したアプローチも、見事だと思った。
贅沢なインタールードを経て、再び『Where It's At』にシフトし、ベックはライヴを締めくくった。近く新譜のリリースも予定されているらしく、この人はキャリアのターニングポイントを迎えていると思う。脊髄損傷を克服し、偉大なる先人にリスペクトを表し、ベックの今後からますます目が離せなくてなってきた。
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