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シガー・ロス(Sigur Ros)@フジロック’16

Sigur Ros@グリーンステージ

2012年はマウンテンステージのトリ、翌2013年は武道館に進出。フジ出演は2005年以来11年ぶりだが、今度エントリーされるときはグリーンのヘッドライナーになるだろうなと思っていた。そして、そのときは来た。

場内が暗転し演奏がはじまるが、ステージ上にメンバーの姿を確認するのが難しい。両サイドのスクリーンからするに、どうやらステージ後方でシールド越しに陣取り演奏しているようだ。この状態で3曲ほど演奏すると、いつのまにか3人はステージ前方に登場。え、3人?

これまで何度も彼らのライヴを観てきたが、編成はコーラスや弦楽器などのサポートを加えた大所帯だったはず。それが今回は、ヴォーカル&ギターの、ベースのゲオルグ、ドラムのオーリーの3人だけによるステージだ。キーボードは、オーリーがこなしている。

ステージには鉄骨が張りめぐらされ、曲により赤く閃光し美しいラインのように見える。バックドロップにはアブストラクトな映像が繰り広げられ、スクリーンには演奏するメンバーを加工した映像が映し出される。音楽の世界観から、映像とのシンクロ率が高いと思っていて、そしてそれはステージ規模が大きければ大きいほどより迫力を増す。

そして彼らは、野外とのシンクロ率も高い。11年前のホワイトステージで彼らが発していた音は、(もちろん称賛の意味で)死ぬ間際に聴こえてきそうな音に思えた。夜ののステージは、アーティストとのシンクロにより幻想的な空間を生み出すことがあるが、そのときの彼らがまさにそうだった。

今回は、グリーンステージのヘッドライナーということで、「死ぬ間際」というよりは「生き抜き」「進化する」という、「攻め」の姿勢を感じた。3人だけによる演奏も挑戦的だと思うし、3人だけとは思えない重厚感に満ちていた。第1回サマーソニックのインドアステージ一発目に出演したバンドが、16年の時を経てここまで上り詰めたことに、感慨深いものがあった。

すべての演奏が終わり、彼らのステージでは恒例の横一列に並び、肩を組んでの礼に。これまでは大所帯での礼だったが、3人での礼は結構新鮮だ。おそらくは近いうちに新譜がリリースされると思うので、そのツアーでまた日本に来てくれることを願っている。

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