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浜田省吾@東京国際フォーラム ホールA 2016年1月8日

公開日: : 最終更新日:2022/12/18 ライヴ

浜田省吾@東京国際フォーラム ホールA

昨年秋から‎スタートしている浜田省吾のツアーだが、今回ワタシが足を運んだのは、昨年春に起こったネパール地震の復興支援チャリティーライヴだ。浜田は、1999年から本格的なチャリティー活動を行っているそうだ。

18時30分開演という、平日にしては‎早めの時間設定だが、なんと時間きっかりに始まった。ステージは幕で覆われていて、『永遠のワルツ』の‎インストバージョンが流れる。そして幕がせりあがり、浜田とバンドがお目見え。『光の糸』‎で始まりだ。バックドロップには7面の縦長スクリーンが並び立ち、曲のPVが映し出される。PVの中の浜田とステージ上の浜田の姿とが、シンクロする。

‎中盤はアコースティック主体のコーナーになり、浜田は着席を促す。この日のライヴが2部構成になること、‎第1部は新譜からの曲を演奏することも、併せて告げられた。曲に込めた想いやエピソードなどを交えつつ、時に客をいじり、また切々と歌う。浜田は、優れたシンガーでありソングライターであり、そしてストーリーテラーであるように思える。『My First Love』の『花火』のアンサーソングだと言って歌った『五月の絵画』‎やイントロを客席に歌わせた『ハッピーバースデーソング』など、見どころ聴きどころは多い。

‎ギアが入ったのは、『夜はこれから‎』だ。ステージに「DJ SHOGO」‎のロゴが入ったDJ卓が設置され、コーラスのひとり中嶋ユキノと浜田とのデュエットになる。曲はデジタル調、ふたりのマイクにはエフェクトがかけられていて、時代に寄せている一方、浜田のパブリックイメージを思えば『Love Has No Pride』以来のかなりの冒険ソングだ。しかし、場内は‎大熱狂で包まれた。もし自分が今20代だったらという思いで、浜田はこの曲を書いたのかもしれない。

ライヴのハイライトになったのは、3つの曲から成る『アジアの風 青空 祈り』だ。『Part1 風‎』はスロー、『Part2 青空』はロックナンバー、‎『Part3 祈り‎』でまたスローになる。歌詞は、戦争とそれによって多くの人が亡くなったことを憂いているように受け取れる。バックの映像もダイナミックになり、『Part3 祈り‎』では幕が降りて透明スクリーンになり、バンドの演奏とキャンドルの映像がシンクロする。そして幕が上がると、キャンドルが映像ではなく実際に設置されていたことがわかるのだ。そして再生を歌う『誓い』を披露し、第1部が終了した。

約15分の休憩を経て(アルバムのピアノインストバージョンをBGMにした、スショーが流されていた)、第2部スタート。『光と影の季節』‎に始まり、比較的近年の曲が続けて演奏される。『I am a father』‎のイントロは、これまでのライヴではSEだったと思うのだが、今回は2人の女性コーラスが担当していた。町支と長田の2人のギタリストがソロを披露し、サックス古村がステージ上を右に左にと動き回るなど、躍動感が増している。

浜田自身のテーマ曲とも言える『ON THE ROAD』を経て、永遠不滅の『J.BOY‎』へ。何度も聴いている曲だが、古さを感じない。それどころか、日本のロック史に残る決定的な曲を浜田省吾は作ったなあと、‎改めて思わされた。不況や各地の政情不安など、世の中は決して明るい話題ばかりではないのだが、日本人‎として生き抜いていく、ワタシたちの背中を押してくれる曲だ。

‎アンコールは、なんと3回も行われた。愛奴時代の『二人の夏‎』(ここでも女性コーラスが有効に機能していた)、オープニングSE‎のインストバージョンの対になるかのような『永遠のワルツ‎』などを経て、『青空のゆくえ』‎でライヴは締めくくられた。15分の休憩があったとはいえ、計3時間10分に渡るパフォーマンスだった。開演が時間きっかりだったのは、ショウが長丁場になる要領だったこともあるのだろうと思った。

‎セットリスト
第1部
永遠のワルツ(インストゥルメンタル)
光の糸
旅するソングライター
マグノリアの小径
美しい一夜
サンシャインクリスマスソング
瓶に詰めたラブレター
花火
五月の絵画
ハッピーバースデーソング
夢のつづき
夜はこれから
恋する気分
きっと明日
アジアの風 青空 祈り Part1 風
アジアの風 青空 祈り Part2 青空
アジアの風 青空 祈り Part3 祈り
誓い

休憩時間15分

第2部
光と影の季節
Thank you
I am a father
君の名を呼ぶ
ON THE ROAD
J.BOY

1stアンコール
二人の夏‎
演奏旅行

2ndアンコール
永遠のワルツ

3rdアンコール
青空のゆくえ

長いキャリアを誇り、代表曲をいくつも持っているアーティストであれば、新譜をリリースしたとしても数曲にとどめ、ベストヒットをライヴの軸にするのが通例だと思う。今回の新譜『旅するソングライター』をほぼ全曲演奏するというのは、大胆な試みであると同時に、代表曲の多くが今回は演奏されなかったことにもなった。

しかし個人的には、新譜の全曲演奏はとても説得力があった。ここで描かれている「旅」とは、物理的な移動の意味合いだけでなく、子供から大人までの人の成長という長い年月の経過をも描き、更には‎社会派テーマまで盛り込まれている。キャリア集大成であるかのようでいて、この人が挑戦を続けていることの証しだと感じたからだ。このツアーは今月中に終了するが、秋からはアリーナツアーが行われるとのことなので、またこの人に会えるのを楽しみにしている。

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