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タイタニック3D

タイタニック

1997年の公開から15年を経て、映画『タイタニック』が3D版としてよみがえり、4月から公開されていた。ワタシはちゃんとは観ていなかったので、これを機会にとGWに劇場に足を運んだ。3時間を超える超大作だが、飽きることなく最後まで楽しめ、そして2つの意味で面白かった。

ひとつは、3D作品としての迫力が圧巻だったこと。監督が3D映画ブームを決定付けた『アバター』のであり、また世界興行収入でも『アバター』に抜かれるまでは『タイタニック』がトップに君臨していた。立体感の表現は細部にまで行き渡り、凡百の3-D映画とは明らかにレベルが違う。

ワタシはIMAX3Dのスクリーンで観たので、その迫力は更に凄まじいものがあった。タイタニック号の圧倒的な船体と、それがラスト前で海中に沈没していくさまは、巨大スクリーンとならではの美しい映像で観る側に迫り、多くの人が死ぬ悲しみの大きさを一層増幅している。

もうひとつは、ストーリー面だ。テレビやセリーヌ・ディオンのPVなどで断片的にしか映像を観ていなかったので、今回初めてストーリーを知った。1912年に沈没したタイタニック号を、1996年(つまり現代)にある観測隊が高価な宝石を求めて探索し、それをテレビで知った101歳のローズが当時を振り替えるという形で進行する。

話は大きく前半と後半に分かれ、前半は上流階級の娘ローズと貧しい少年ジャックが船内で知り合い恋に落ちる、ラヴロマンス。後半は、タイタニック号が氷山に激突してしまい、沈没と死の恐怖にさらされるパニック路線だ。

特に後半は、観ていて胸を締め付けられる。客員乗員総勢2200人に対し、船に装備された救命ボートはその半数分しか収容できない。富裕層の女性や子供が優先してボートに乗り、続いて一般層や男性たちとなるが、エゴイズムの交錯により混乱に拍車がかかる。そんな中でもジャックとローズはお互いを支え合い、最後にジャックは絶命してしまうものの、ローズは奇跡的に生還する。

序盤、ジャックがローズを助けてこれが2人が知り合うきっかけになり、終盤、ローズの婚約者だったキャル(ほとんど政略結婚)の謀略で船底に閉じ込められたジャックを、今度はローズが助ける。愛する男性を救う女性というのは、これまでのキャメロン作品にも見られていて、この人の理想の女性像なのだろう。

ワタシは基本的にラヴストーリーには関心がないし、観たところでさして心が動くこともないのだが、今回は身に沁みた。窮地に陥ったとき、冷静かつ的確に判断し行動できるか。自分で、自分が愛する者を救えるか。守れるか。勇気づけ続けることができるか。

ジャックは、ローズはが演じている。ディカプリオは精悍な顔つきと少年ぽい表情とが入り交じっていて、この容姿でこのキャラクターを演じたらそりゃ人気でるわと納得。ケイトは決して超美人ではないのだが、いったんボートに乗りながらジャックを求めて自ら船に戻るところなど、健気で仕方がない。

当初は、3Dの迫力のみを求めて劇場に足を運んだ。しかし、仮に3Dでなくとも、観る価値は充分過ぎるほどある。沈没しかかり大混乱している船内で、絶対に心が折れず、励まし続け、生への希望を捨てず、最後は自分の身を呈してローズを救ったジャックの姿勢は、素晴らしすぎる。

97年に公開された映画『タイタニック』が、なぜ今年になって3-D化され公開されたのか。それは偶然ではなかった。今年2012年は、タイタニック号が沈没した1912年からちょうど100年で、それにリンクさせたのだ。

先月、カナダにて式典が行われたとのこと。当時、タイタニック号に日本人としてただひとり乗船していたのが、細野正文という人。この人は、のおじいさんである。細野はこの式典に参加したとのことで、それを扱った特番が、6月7日(木)にBSにて放送される予定。見てみようと思う。

劇中、沈没の恐怖を少しでもまぎらわせようと周囲の混乱の中演奏を続けた音楽隊が描かれていた。リーダーがいったん解散を宣言し、メンバーに避難を促す。自分はまた演奏を再開。すると、他のメンバーも戻ってきて演奏に加わり、結局フルメンバーで沈没するそのときまで演奏を続けていた。コレは実話だったらしく、番組ではその辺りにも触れられるようだ。

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